1. anime
  2. 328 view

「パーフェクト ブルー」映画レビュー あらすじと私的感想

高架下に掲示されている手塚修の絵

モネです、今日もXMT_from_TYO !! です。先日の《グロくない!モネなりに後味の悪い映画をチョイスしてみた!》はいかがでしたか? 基本的に、このサイトであんまりバイオレンスとかスプラッターとかホラー映画を紹介しないつもりでいたんだけど、成り行きで簡単ながら紹介をしてみました。

地味に反響もあり、まぁ、内容や構成によっては「あり」なのかなと実感。映画は非現実的な方が好きなんで、そもそも嫌いじゃないし。なので、内容次第では、エロい、ぐろい、キモい作品も少しは紹介しようと思います。そこで今回は大好きなアニメ名画から、今 敏、第1回監督作のサイコホラー『パーフェクトブルー』です。「ジョゼと虎と魚たち」以来の日本映画です。

「PERFECT BLUE パーフェクト ブルー」作品概要

  監 督:今 敏
  原 作:竹内義和
  脚 本:村井 さだゆき
  未 麻:岩男潤子
  ル ミ:松本梨香
  田 所:辻 親八
  内 田:大倉正章

  制作年:1998年
  制作国:日本
  時 間:81分
  原 題:PERFECT BLUE
  配 給:レックスエンタテインメント

映画「PERFECT BLUE パーフェクト ブルー」あらすじ

チャムを卒業する未麻

オープニング、戦隊ヒーローの活躍場面。百貨店の屋上で行われている特撮ドラマヒーローの子供向けショーである。戦隊ヒーローのショーが終わり、控え室から、舞台袖、そしてステージへと登場する3人組アイドル「CHAM(チャム)」。
チャムのセンターを務める“みまりん”こと未麻は、このステージを最後にチャムを卒業する。

女優に転身 未麻の周囲で異変が起きる

“卒業後”、早速未麻は連続ドラマ「ダブル・バインド」に出演。事務所の大きな期待に応え、女優に転身といきたいところだったが、登場シーンはわずか3カット。セリフも「あなた。。。誰なの?」のみ。撮影スタジオで事務所社長の田所は未麻あてのファンレターを1通受け取り、そこで会った脚本家である渋谷に掛け合い「アイドルは卒業させました」と登場シーンを増やして欲しいと懇願。その際、田所が受け取った未麻宛のファンレターを開封したところ爆発。破裂した手紙の破片には“警告”の文字があった。

「未麻の日記」にアクセスする未麻

場面は変わり未麻の自宅。開梱されたMac(Performa 5210 みたいなやつ)と未麻のマネージャーであり少々太り気味の元アイドルのルミの姿。ルミは未麻に頼まれMacのセットアップをしていたところだった。未麻は以前送られたファンレターに記載のURLを叩き、サイトを表示すると「未麻の日記」なるページにたどり着く。そこには未麻しか知り得ない未麻の現実生活が綴られていた。

周囲の要請に応える未麻

その後、ドラマでの登場シーンが増えた未麻。さらにドラマ後半では、鍵を握る人物となっるのだが、台本に書かれた、その役所はストリップ劇場でレイプされるというものだった。マネージャーのルミは猛反対するものの未麻はこれを受け入れ撮影となる。放送されると未麻への反響か視聴率は上がり未麻はメディアに取り上げられ注目されていく。そんな中、脚本家の渋谷がエレベーター内で殺害された。ここから未麻の周辺では現実とも妄想、幻覚ともつかない数々の事件が起きる。

現実、妄想、幻覚、おぞましい日常が始まる

自身で選んだ女優業に対する周囲の反響による苦悩。現実と妄想、幻覚の世界を緻密に織りなし、物語が進むにつれて、未麻はだんだん精神的に追い詰められていく。
繰り返される現実と妄想、幻覚。それが入れ替わり立ち替わり次々と現れる。現実世界、夢、ドラマの3つの世界による三重構造となっており、何が現実なのか、観ている側も区別がつかない。

本来の“自分”との葛藤により作り出された妄想?

未麻は、もともと歌を歌いたいからアイドルになった。でも事務所の要請で女優に転向する。アイドルグループ脱退後、確かにドラマ出演は果たすが台詞はわずか。事務所から未麻について活躍の場を求められた脚本家はレイプシーンを用意。といった感じで、本人の意向に関係なく周囲に押し流され、結果、過酷な状況に陥っていく。それでもなお責任感からなのか全てを受け入れる未麻。知名度は上がるものの、自身の思い描いた夢とはかけ離れ、周囲の要請によって状況が悪化し、それが大きなストレスとなっていく。

自身の夢とは裏腹に周囲の期待に応えることを選択した未麻。思い描いた夢と乖離することでストレスがかかる中、ルミの幻覚や未麻の周辺で警備員をしているストーカー?! 内田の存在により、未麻の内面が崩壊していく。
映画『パーフェクトブルー』のポスターやパッケージなどアートワークの未麻がジグソーパズル風デザインで表現されているが、これは未麻の精神が崩れゆく様を表しているのだろう。

周囲の後押しにより意に沿わない選択をしたとはいえ、自分で選んだこと。にもかかわらず、未麻は何故幻影を見るまでになってしまったのだろう。おそらく、それは「未麻の日記」を見てしまったから。もともと「未麻の日記」には実際に起きた未麻の日常が綴られていたが、“チャム”脱退後もアイドルグループ“チャム”の未麻が、そこに存在していた。つまり未麻がしていたであろう日常が書き連ねてあった。

これを読んだ未麻は戸惑ったんだろうな。自分本来の姿と今の状況の違いを感じるだろうからね。きっと気持ちが揺さぶられたのであろう。だから、幻影を見ることになり、思い悩むことになったんじゃないかな。ちなみに「未麻の日記」の情報元はルミだろう。チャム“みまりん”へのルミの思いから架空の日常を描かせたのだろう。

現実の未麻より自分らしい未麻がネットに存在していたことを知ってしまったことで、現実との乖離により幻影を見ることとなり、周辺の拒否反応と相まって、それが引き金となり事件に発展してしまったんじゃないかと思う。

映画「PERFECT BLUE パーフェクト ブルー」あらすじ終盤 ネタバレ

「未麻の日記」を運営していたのは警備員の内田。ハンドルネームはME-MANIA。 ME-MANIAは自分にとってのアイドル未麻?とメールでやりとりし、アイドル未麻がME-MANIA(ミーマニア)に対し“偽物が私の邪魔ばっかりする”と現実の未麻を非難する。ME-MANIAは、ひとこと“ボクが始末する”。

未麻の周辺では様々な異変が起きた。未麻のヌード写真を撮影したカメラマンが殺害され、騒がしい環境にもめげず、未麻はドラマ「ダブル・バインド」のクランクアップを向かえる。打ち上げ前に着替えるため控え室に向かう未麻。そこにいたのはME-MANIAこと警備員の内田だった。ナイフで襲いかかる内田をハンマーで一撃した未麻。そのシーンの背景色が変わり“はい、OKです ”の声が入る。撮影の現実シーンとオーバッラップする。

その後、ルミと自宅に戻った未麻。田所に電話をするが、電話に出る事はなかった。田所は既に殺害されており、その横には内田の死体も横たわっていた。帰宅後、未麻は自分の部屋に違和感を感じていた。そこで、自宅の部屋を確認すると細かな差異を察知する。ここは未麻の部屋ではなく、未麻の部屋を再現したルミの部屋だった。
そして、キッチンから赤い衣装をまとってルミが“本物の未麻”として登場する。その手にはアイスピックがあった。

逃げる未麻を追い。アイスピックやビニール傘で未麻を刺すルミだったが、よろめき車道に出たところトラックが突っ込んできた。トラックのライトに照らし出されたルミは、トラック避けるどころか、ステージでスポットライトを浴びるアイドル“みまりん”のように手を広げ立ち尽くした。間一髪、トラックに轢かれるところを未麻に助けられルミは一命を取り留める。

映画「PERFECT BLUE パーフェクト ブルー」あらすじラスト ネタバレ

シーンは変わり病院。花束を抱え独り言を言いつつ歩くルミ。その状況をガラス越しに見舞う未麻。見舞う未麻に“いらしてたんですね?お忙しいでしょうに。。”と話しかける医者。その後の経過はないものの、おそらく未麻は有名女優となり立場を築いたのだろうということを垣間見ることができる。そして、もしかしたらルミには身寄りがなく、未麻が成年後見人とかになっているのか、なんて感じもした。

その後、病院を後にアルファロメオに乗り込む未麻。車内のルームミラーに映る未麻がサングラスを外し笑顔でひとこと“私は本物だよ”。

感想

この作品、ちょっとわかりにくいところもあり、何が現実だったのか1度見ただけだと何とも言えない感じ。でも、この作品を観て妄想か幻覚か、はたまた現実?!みたいな、この世界を織り込むのにアニメって可能性があってすごいと感じる作品だ。

細かい描写とか、殺人とか。光と影みたいな話とかいっぱい書きたいことはあったが。やっぱり、まとまらない。「フロリダ・プロジェクト」と同じパターンになってしまった。なので、細かなことはなしに書いてみました。

こちらは、昨年9月に早稲田松竹にて上映された「今敏監督、没後10年」の際に掲示されていた案内。

最後に

それにしても、この殺人、全部ルミが殺ったのか?それとも脚本家とカメラマンは内田の仕業?内田と田所は誰が殺ったのだろうか?もしかして“みまりん”だったりして?!などなど、そんなことを考えながら観るのも楽しいね。

最後になるけど、実はこのキャラクターの原案は江口寿史さんなんです。あくまでも原案とはいえ、いつものタッチと少々違って、キャラクターが主役から脇役まで、とても濃い。この濃さに人間味が感じられ、アニメーションゆえの展開の良さと相まって物語に引き込まれていく素晴らしい作品に仕上がっています。ちなみに“キャラが濃い”は英語で言うと“Kooky”と表現するみたいです。ということで、モネの“「パーフェクト ブルー」映画レビュー あらすじと私的感想”fm_TYO_w_luv !! でした。

animeの最近記事

  1. 「パーフェクト ブルー」映画レビュー あらすじと私的感想

関連記事