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田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」 俺の人生に影響を与えた3つのノベル

近日上映予定の映画ポスター3点

モネです、今日もXMT_from_TYO !! です。今回は俺の人生に影響を与えたノベルについて紹介します。田辺聖子さんの代表作のひとつ「ジョゼと虎と魚たち」です。

短編作なので一度読み返してから書こうと思いつつ、もともと映画を見てから本を読んだので今回は映画化された「ジョゼと虎と魚たち」について書きたいと思います。もちろんおすすめ本です!
ちなみに私の周りにいる人は一度は聞いたことがあるかと思いますが、時々使う”リアリティー”という言葉は、ここで受けた影響です。

「ジョゼと虎と魚たち」予告編 動画

 公開年:2003年
 制作国:日本
 時 間:116分
 英 題:Josee, the Tiger and the Fish
 配 給:アスミック・エース

「ジョゼと虎と魚たち」のあらすじ

雀荘でバイトする大学生、恒夫(妻夫木 聡)は雀荘オーナーの愛犬を散歩させていた際、バイト先で噂になっていた乳母車を押す老婆に遭遇する。

恒夫は坂道から転がり落ちる乳母車を発見、ガードレールにぶつかり止まったところに駆けつけると、その中にはジョゼ(池脇千鶴)が包丁を握りしめていた。
老婆はジョゼの祖母で足が不自由なジョゼを「壊れ者」といい、人に見られないよう明け方に散歩させていた。

ごみ捨場から拾ってきた本を読むことを唯一の楽しみにしていたジョゼ。ジョゼという名は拾ってきた一冊の本フランソワーズ・サガンの「一年ののち」の登場人物から名付けたもの。

恒夫はだんだんジョゼに興味をもち家に通うようになった。一方大学での恒夫は香苗(上野樹里)に好意を寄せつつ、セックスフレンドのノリコ(江口 のりこ)とも友交。その後、ジョゼの祖母が亡くなったことをきっかけに二人は恋人同士になる。

「ジョゼと虎と魚たち」の見どころ

恒夫はどこにでもいる普通の学生。正義感と好奇心からジョゼに興味を抱き、恋人同士になった。でも所詮ただの学生、人生経験も乏しいし、それ以上にキャパはない。映画終盤でジョゼと別れ、結局香苗の元に行ってしまうが、まぁ、ある意味リアル。無理はないかな。少し軽薄にも感じられるがこれが現実だよなと思った。

恒夫を奪われた香苗がジョゼを罵倒するシーンもリアル。福祉関係を目指す大学生の香苗が”正直、あんたの武器がうらやましいわ”と障害のあるジョゼを罵ったり、香苗に対し”本当にそう思うんやったら、あんたも足きってもうたらええやん”と決して折れることなく言い放ったジョゼ。

日本人て、だいたい綺麗ごとの中で生きてる感じがするけど、そんな中で「ジョゼと虎と魚たち」は綺麗ごとなどおかまいなしに現実を見せてくれた。そういった意味では、観終えた時にはグサリとくるものがあって、なんとも言えない感情がなかったわけではないが、なんか人間らしさをさらけ出したところに共感した。

「ジョゼと虎と魚たち」の秀逸ポイント

映画の中盤で恒夫に“帰れと”言ったジョゼ。その言葉を受け無言で帰ろうとする恒夫に対し“帰れと言われて帰る奴は帰れ”と恒夫の背中を叩きながら泣くジョゼの姿。「堰を切る」という言葉があるけど、この場面はまさにそんな感じ。母親の家出、父親の再婚、施設での生活の後、祖母に引き取られる。ジョゼはいつも一人ぼっちが当たり前。だから障害を抱えながら一人で生きていくしかない。だから強くはなったのだろう。その強いジョゼが初めて見せた弱さ。今までの苦労とか辛さとか、ようやく手に入れた安堵感とかいろんなものが詰まっていることを思い起こさせるような場面に泣けてきた。

とても切なくってジョゼの心情がグッとくる話。でもまぁ、だからと言って、悲しいだけの話ではない。
ただ単に恒夫がジョゼを捨てたとか、香苗を選んだということだけではないんだよね。
いけてないファッションやべたべたした話し方、障害以前に人前に出られる感じのしないジョゼ。そんなジョゼも恒夫と別れたあとは、なんだかさばさばしていた。少しだけ洗練されたというか灰汁が抜けた感じ。そしてエンディングで魚を焼くジョゼの姿から今までにない柔らかい表情、余裕や自信みたいなものを感じることができ、ラストに未来を予感した。そんな素敵なエンディングに続き、エンドクレジットでは、くるり「ハイウェイ」が流れる。サウンドはもちろん、歌詞がリアルに響く。

「ジョゼと虎と魚たち」の結び&感想

現実を丁寧に描いた数少ないラブストーリー
・池脇千鶴さんは素晴らしい女優
・くるり「ハイウェイ」はカッコイイ

くるり – ハイウェイ 動画 妻夫木 聡 – わたしにとってのくるり

   発 売:2003年11月5日
   時 間:4分20秒
   作 詞:岸田 繁
   作 曲:岸田 繁

てな感じです。ぜひ観てみてください。ということでモネの“田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」 俺の人生に影響を与えた3つのノベル” fm_TYO_w/_luv !! でした。

こちらもぜひ読んでください。

《船戸与一「虹の谷の五月」 俺の人生に影響を与えた3冊のノベル》

《ロバート・B・パーカー「初秋」 俺の人生に影響を与えた3冊のノベル》

「ジョゼと虎と魚たち」の作品概要

  監 督:犬童一心
  原 作:田辺聖子
  脚 本:渡辺あや
  音 楽:くるり
  出演者:妻夫木 聡
      池脇千鶴
      上野樹里
      新井浩文
      新屋英子

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