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ロバート・B・パーカー「初秋」 俺の人生に影響を与えた3冊のノベル

路面に設置された古本屋の書棚の前を歩く男性の足

モネです、今日もXMT_from_TYO !! です。今回も前回の《船戸与一「虹の谷の五月」 俺の人生に影響を与えた3冊のノベル》に引き続き、俺の人生に影響を与えたノベル3冊目について紹介します。

今回のおすすめ本はハードボイルド作家、ロバート・B・パーカーのマサチューセッツ州ボストンを舞台にした私立探偵スペンサーシリーズの第7弾「初秋」Early Autumnです。
この「初秋」はハードボイルドといってもアクション系ではなくスペンサーの生き様が魅力の作品。そして、このかっこいい男、スペンサーは生きざまだけでなく、ひとつひとつのセリフがとってもCoooool!! ちなみにスペンサー名言を紹介するブログも多数あるくらい。
この本を初めて読んだのは高校生の時で、当時”自立”について深く考えさせられました。

本好きに読んで欲しい「初秋」の作品概要

©早川書房

出版社:早川書房
文 庫:288ページ
発 売:1988年⒋月
原 題:Early Autumn
翻 訳:菊池 光

Netflixにて映画化されたスペンサーシリーズ

元警察官の私立探偵スペンサーを主人公としたシリーズ全40巻。マッチョでおしゃべりで皮肉屋のスペンサー、いつも冷静に淡々と仕事する黒人の大男相棒のホーク、明晰な頭脳の持ち主の恋人のスーザンなどスペンサーを取り巻く登場人物が魅力的。

約40年に及び執筆されたシリーズなので、通常で考えると1冊目から読むのがセオリーかもしれないが、キャラクターの生き方とか哲学みたいなものは、シリーズが進むにつれて魅力を増していく。

そんな点を考慮すれば、気になった作品から読むのもアリかもしれない。ちなみにこのスペンサーシリーズはマーク・ウォルバーグ主演で映画化され、2020年春にNetflixにて公開されています。まずは映画から様子を伺うのもいいかもしれないね。

「初秋」のあらすじ

両親の離婚による争いから一人の少年を守り自立をさせる物語。スペンサーのもとに離婚した夫から息子ポールを取り返して欲しいとの依頼が入る。のちにスペンサーはあっさりと依頼者パティの元にポールを連れ戻す。
ポールを連れ戻した後、実は幼少期に離婚した両親がお互いを傷つけるために息子ポールを奪い合っていることをスペンサーは知る。
両親の愛情を注がれることなく育ったポールは無気力でスペンサーに対し心を閉ざしていた。そして4ヶ月後、ポールが再び誘拐されそうになり、パティから再度依頼を受ける。
ポールの状況を見過ごすことができなくなったスペンサーは彼を一人の健全な人として育て自立させることを決意。なんと両親と引き離しポールとの生活を始める。
ポールは食べるものや、自分でしたいことなど自身のことですら関心を示さなかったが、スペンサーとの生活で自分の意思に従い判断や行動するように変化していく。

「初秋」の秀逸ポイント

この物語は、嫌がらせのために息子を奪い合う父母と息子ポール奪還を依頼された私立探偵スペンサーとの間にポールを配置したことで素晴らしい物語に仕上がった。
また、ポールの思春期らしからぬ言動で両親の離婚騒動による問題を強く印象付けている。こんなエピソードがスペンサーとの共同生活を通して健全な青年に変化していく展開に説得力をもたせたんじゃないかと思う。

見どころは今までの人生で欠けていたものを取り戻すポールの姿だけど、マルチなスペンサーも足りないものを補えたように思う。ポールには親が必要だったし、スペンサーにとって、親身になって育てるとか、教育するとかといった親子のような共同生活は必要な経験だったんじゃないかなって感じた。

2人の間はいい相補の関係になった気がする。だから読者も2人の関係により心地よい共感を得られたと思うし、そのような補完関係を望んだからなのか、スペンサーは、いつも以上によく話すし頑固でおせっかいだった気がする。スペンサーのそんな姿やポールとの交流は何度読んでも、また読み返したくなるんだよね。

「初秋」の結び&感想

自立って依存しないことのように思っていたけど、「初秋」を読んで自立とは自分自身の意志で自分自身の責任による依存の選択なんじゃないかと思えてきた。
ポールには現実的な選択肢がなかったし、見つけ出す気力もなかった。それでもスペンサーとの生活によって好きなことをし、役立つことを経験し、やり遂げたことで自立心が芽生えたのだろう。
他人に左右されない、目標を持ち自分で考え選択することが自立なんだって「初秋」を通して、ひしひしと感じた。

これ、素敵な話です。ぜひ、読んでください。
ということでモネの“ロバート・B・パーカー「初秋」 俺の人生に影響を与えた3冊のノベル” fm_TYO_w/_luv !! でした。

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