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「ブラウン・バニー」映画レビュー あらすじと私的感想

近日上映予定の映画ポスター3点

モネです、今日もXMT_from_TYO !! です。 日中の暑さはさておき、虫の音も聞こえ秋っぽくなってきましたね。あんまり暑いとき、ビールを飲むと汗ダラダラ。これくらいの気候だとビール飲むのにちょうどよい。

『バッファロー’66』ヴィンセント・ギャロ監督によるロードムービー

今日のブログも映画について。ヴィンセント・ギャロによる2作目「ブラウン・バニー」です。
第67回ベネチア国際映画祭で主演作「エッセンシャル・キリング」主演男優賞を受賞、前監督作『バッファロー’66』で心を端掴みされた方からすると中には“なんじゃこりゃ!?”って感じの人もいるかも。

監督自ら脚本、主演、撮影、編集などなんでもやっちゃうマルチぶり。スタッフの数はめちゃくちゃ少なかったらしい。これが自由気ままというか、悪く言えば自制が効かないとでもいうのか・・一部の人には評判悪かったようです。まぁ、気の向くままに生きて何が悪いって言われたらそれまでだね。ちなみに英語で言ったら“Because I can”って感じかな。

でもまぁ、かっこいいロードムービーであることは間違いなし。前回の“「スイミング・プール」映画レビュー あらすじと私的感想”とはタイプは違うけど、いずれも映像は美しい!

ストーリー展開と映像についての感想

あまりセリフや物語性はなく、ただただ映像が流れていく。しかも車を運転するバドの横顔や運転席正面の映像ばかりでストーリー展開は皆無。たまに寄る街でバドと女性との会話があるだけ。
車の運転て長距離となると眠くなるけど、あの感じがしてきて、気がつくとウトウトしてしまってたりして。

映像から分かることは、主人公は塞ぎ込み考え込んでいること。つまりなんか病んでる感じ。それがセリフや表情から感じ取ることはできるものの、なにせセリフが少ない。この男、いったい何を抱え込んでいるのか分かるだけの展開がない。

砂漠で黒いバンからバイクを降ろしたバド

とはいえ、この映画の映像はとても美しい。特に、砂漠の中にバンを止めてバイクを走らせるシーン。ウユニ塩湖とまではいかないが、なにもない白い平原でバイクを走らせ長回しするシーンは圧巻。

あらすじ カリフォルニアに旅立つバド

黒いバンにレーシングバイクを積むバド

各地で行われるバイクレースに参加するため旅するバイクレーサーのバド。レース後、バンにバイクを積み次のレース地であるカリフォルニアに向けて出発する。


レース後に出会うヴァイオレット

運転席のバドと見つめ合うヴァイオレット

ガソリンスタンドに立ち寄ったバド。店の女の子ヴァイオレットに声をかけ、一緒にカリフォルニアに行くと誘う。彼女にキスし自宅に行くものの、荷物を取りに家に入ったヴァイオレットを残し車を走らせる。

寂しげにベンチに座っていたリリー

悲しげな表情でバドを見つめるリリー

バドが車を止め自販機でコーラを購入した際に、悲しげな表情でベンチに座るリリーにキスし抱き合う。車に戻り泣き出すバド。


声をかけてきた娼婦のローズ

信号待ちのバドに声をかけるローズ

バドが信号停車中に声をかけてきた娼婦ローズ。一度は断るものの食事に誘い車で移動。でも結局元の場所でローズを降ろし一人泣くバド。


クライマックス デイジー登場

ホテルの部屋でバドを見つめるデイジー

かつてバドとデイジーが住んでいた家に立ち寄り、メモを貼るバド。ホテルのフロントにもデイジーから電話か訪問があることを告げる。
ここからネタバレ。気がつくとメモを読んだデイジーが登場。トイレを借りパツハをやり始める。
その後、数年前の事件の話となり、デイジーがレイプされ得た後に死んだこと、レイプ中にバドはその現場にいたこと、怖くなって現場を離れたものの戻ってきたときにはデイジーが死んでいたことが明らかになる。そして、バドはレイプではなくデイジーが合意の元に起きたこととと認識していたこともわかった。

ラストシーンの自分なりの解説

ラストの展開を観て思ったことは、一言で言ってしまえば、バドは人を愛するだけの精神年齢に達していなかったのだろうね。ちゃんと人を愛せる人って、相手が自分のものになるかどうかってことに大きなこだわりはないんじゃないかと思う。

ましてやレイプされている彼女を見て逃げ出すってマジありえない。しかも恋人の死を受け入れられないから不安定な精神状態と言われてもねぇただのガキかよって感じ。
片思いでもいいということでもないけど、少なくとも自分のものにならないからって嫌いにはならないはずなんだよね。しかも、これってれ誤解だしね。

まぁ、逆に拘束されていることが愛されている証みたいな子もいるけど、これも精神年齢が低い。拘束しない男は自分を愛していないって思っているのは、ちょっと面倒くさい。そういう女の子に限って隙があるから変な男につけこまれたりして。。なんかくだらんことを吹き込まれ、それをネタに変なこと言う女っているしね。まぁ映画とは関係ないけど。
少なからず、相手が生き生きとしていてくれれば、それって自分自身も、ときめいていられるわけだから、そのあたりがわからないと大人とはいえないね。

デイジーと対峙できないバド

パートナーともなれば、片思いじゃなくて関係を深めていくことになる。ラストのシーンでしか登場しないから不明な点が多いけど、分かることはデイジーは酒やスリク、パツハといった問題がある女だった。それは最初からバドはわかっていたようだし、そもそも逃げ出したのはバドなわけだから、まぁ、事情は何であれ、いきなり死んでしまえば病んだ状態になるのは仕方ないかな。

クライマックスはバドの懺悔?!

最後ホテルの一室でのシーンは性的描写も含め衝撃的。デイジーの死の真相が明らかになるわけだけど、このホテルでのシーンでバドは悔やんでも悔やみきれないことを思い知る。
デイジーを助けることができなかった罪の意識も当然なんだけど、このシーンの本質ってデイジーに好きな気持ちを伝えきれなかったことが表現されている気がする。

バドがデイジーを愛したことを素晴らしいことだと手放しで感じていなかった。好きだけど、どこか戸惑いがあった。それが酒とスリクなんだろうけど。きっと、どうしていいかわからなくなったり、扱いに困ったりしたんじゃないかな。だから思いを伝えられなかったからこの場面で懺悔とともに思いを伝えたかったんだろう。

「ブラウン・バニー」の結びと感想

こうして自分なりの考えをまとめてみると、映像のかっこよさとは随分乖離のある話だなと思った。
なので評価しない人がいるのも無理はないな。感情的な話なんだろうけどね。タイプは違うけどオーストリア映画で「ファニーゲーム」という映画がある。内容は違えど、なんとも後味が悪い。「ブラウン・バニー」も少々そんな感じ。違う点は映像の美しさに、ラストの展開に衝撃的な要素があり、十分楽しめます。

間違いなく映像はかっこいいです!ぜひ観てみてください。モネの“「ブラウン・バニー」映画レビュー あらすじと私的感想” fm_TYO_w/_luv !! でした。

「ブラウン・バニー」作品概要

  制作年:2003年
  制作国:アメリカ
  時 間:90分
  原 題:The Brown Bunny
  配 給:キネティック

  監 督:ビンセント・ギャロ
  脚 本:ビンセント・ギャロ
  出演者:ビンセント・ギャロ
      クロエ・セビニー

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