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「薄氷の殺人」&「鵞鳥湖の夜」映画レビュー あらすじと私的感想

近日上映予定の映画ポスター3点

モネです、今日もXMT_from_TYO !! です。今朝、じゃなかったもう日付はまたいだけど、家でゴロゴロしていたので珍しくテレビをつけたら、なんと春の選抜高校野球の中継。そっか、開催できたんだって思ったが、すでに4日目。まぁ、開催できてよかった。

早稲田松竹にて、ディアオ・イーナン監督作2作品を観る。

先日、といっても2週間くらい前の話になっちゃうけど、1日休みだったので、銀行、整体、歯医者など一気に予定をかたずけた。いい感じで予定がぽっかり空いたところがあり、歯医者に行く前に早稲田松竹で2本立ての映画を観ることにした。
観たのは中国地方都市を舞台としたクライム・サスペンス「薄氷の殺人」「鵞鳥湖の夜(がちょうこのよる)」の2作品。


なんで観たかというと、監督のディアオ・イーナンが脚本を手がけた『スパイシー・ラブスープ』、『こころの湯』が、いずれも素敵な映画だったから。だから観よう観ようと思っていたんだが、なんか縁がなくて。それが2本立て、しかも時間もぴったりだったんで即決定。

ディアオ・イーナン監督について

来歴は以下のとおり。

1968年11月30日、陝西省西安市で生まれる。1992年に中央戯劇学院を卒業。その後、脚本家として活動を始め、チャン・ヤン監督の『スパイシー・ラブスープ』(1997年)や『こころの湯』(1999年)などの作品の脚本を手がけた。2003年に長編『制服』で映画監督としてデビュー。ロッテルダム国際映画祭で2つの特別表彰を受け、バンクーバー国際映画祭でも賞を受ける。2007年に発表した2作目の『夜行列車』は第60回カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品され、ワルシャワ国際映画祭ではグランプリを受賞した。2014年、7年ぶりの長編『薄氷の殺人』を発表。第64回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞し、主演のリャオ・ファンにも男優賞をもたらした。


引用元:ウィキペディア

「薄氷の殺人」「鵞鳥湖の夜」は地方都市を舞台にした作品。

中国というと、やっぱり北京や、上海、深センなどが頭に浮かぶところだろうけど、急成長しながらも大都市をささえる地方都市がたくさんある。この映画は、いずれも、そんな地方都市が舞台となっている。この20年くらいで劇的に変化し、爆発的な成長、大都市への人口流入、成長の裏側にある閉塞感。そんな、中国地方都市の雰囲気や社会の生々しさみたいなものが描かれている点が興味深い。

ちなみに、現在の中国はというと大都市に流れた若者が自身の地元に戻る現象が起きていると報道されている。これを「帰雁経済」っていうらしい。まぁ、ようするにコロナ禍をきっかけとし、都市の生活に不安を感じ、田舎に帰るということのようだ。地方とはいえ、それなりにIT化が進んだことも一因なんだろうな。ってことは春節名物「民族大移動」なくなっちゃうのかな。
話はそれたが今回観た映画は、そのような地方都市を舞台にした映画。

「薄氷の殺人」作品概要

  監 督:ディアオ・イーナン
  脚 本:ディアオ・イーナン
  出演者:リャオ・ファン
      グイ・ルンメイ
      ワン・シュエピン
      ワン・ジンチュン

  制作年:2014年
  制作国:中国
  時 間:106分
  原 題:白日焰火
  配 給:ブロードメディア・スタジオ

「薄氷の殺人」あらすじ、ストーリー。

ストーリーはこんな感じ。時は1999年。そういえば、そんなタイトルのアルバムがあったな。高校生の時にハマったやつ。お金がないからドーナツ盤だけ買ったのだ。ちなみに今でも大切な1枚なので手元にある。もちろんCDも持っているしハイレゾプレーヤーにも収録してある。
話は戻り、ネタバレなしでこんな物語。中国の地方都市でバラバラに切断された遺体が15箇所の炭鉱で発見された。その発見場所は様々で、数十キロ離れた場所もあった。その後、捜査を担当したジャン刑事は容疑者の事情聴取の際、同僚は殉職、ジャン自身も負傷。結局、捜査は難航し真実はわからぬまま5年が経つ。
警察を退職したジャンは警備員として暮らすものの酒びたりの日々。そんなある日、5年前の事件にそっくりなバラバラ殺人事件が起きたことを知り、自身で捜査してみると5年前の事件での被害者の妻、ウーが絡んでいることを知る。それから、ジャンは捜査しながらだんだんと未亡人ウーに、ウーもジャンへと互いに惹かれあっていくが。。。

「薄氷の殺人」感想っていうか、抱いた疑問

話としては楽しませてもらった。でも、疑問に思うというか突っ込みどころ満載。つまり、これってどうなんだと思ってしまった。
例えば、冒頭のバラバラ死体について。発見された場所は各地域に点在しているのはわかるが、どこから運び込まれてきたのか調べれば捜査に詰まることはない。なので、迷宮入りになんてならないよね。トラックにどんな共通点があるか調べりゃすぐわかるだろう。
場面の展開もなんか変。バラバラ死体の発見から、よく分からぬまま、いきなりの銃撃戦だったり。駅のホームで押し倒したり、売春婦にコスプレなどなど、冷静に観ると違和感を感じる。ストーリーは全般的にいいと思うし楽しめるのだけど、やりたいことが先に決まっていてとりあえず詰め込んだって感じがしちゃって、気になりだすと話に入り込めない。でもこの作品、第64回ベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞と男優賞をダブル受賞したそうです。

「鵞鳥湖の夜」作品概要

  監 督:ディアオ・イーナン
  脚 本:ディアオ・イーナン
  出演者:フー・ゴー
      グイ・ルンメイ
      リャオ・ファン
      レジーナ・ワン

  制作年:2019年
  制作国:中国・フランス合作
  時 間:111分
  原 題:南方車站的聚会
  配 給:ブロードメディア・スタジオ

「鵞鳥湖の夜」あらすじ、ストーリー。

続いての作品は「鵞鳥湖の夜」。こちらの舞台は2012年、中国南部の地方都市。バイクの窃盗団の縄張り争いが激しさを増す中、主人公のチョウは刑務所を出所したばかりでバイクの窃盗団に加わった。その後、対立が激化しチョウは争いの中、誤って警官を射殺してしまう。指名手配犯となったチョウには30万元の報奨金がかけられた。チョウは妻子が30万元を手にするよう画策。妻と待ち合わせをするつもりが、チョウの前に現れたのは見知らぬ女、鵞鳥湖の水浴嬢アイアイだった。

「鵞鳥湖の夜」感想っていうか、抱いた疑問

土砂降りの中、高架下に佇むチョウ。そこに現れたのは妻ではなくアイアイ。指名手配犯が待ち合わせ場所に知らない女がやってきて会話しちゃうなんてなんか無理がある。いくら代理とはいえ、妻ではなく見知らぬアイアイが来たのに緊張感とか何もない。映像的には今後の展開が気になり食い入って観たくなる感じだけど、いかんせんこの展開には無理がある。
さらに、そこでいきなり結構な長さの回想シーンが始まり、時間軸はよくわからない。ちなみに時間軸を英語で言うと“timeline”です。別に説明的な映像が必要なわけではないが、もうちょっとうまいこと映像で表現できないのかなと思ってしまう。
こうやってなんか気になることがあるからなんだろうけど、よくわかんないエンディングも、どんなつもりで制作したのだろうといろいろ気になっちゃう。せっかく、窃盗団を出し抜いて報奨金を手にしたわりに、それに見合うクライマックスがないんだよね。なぜこうなっちゃうのだろう?! 一番盛り上がるところなのに何やてんだよ、一番の見せ所なんじゃないか。

共通の結び スタイリッシュでグラフィック、でも何か足りない。

2作品いずれも、大まかなストーリーは面白いとは思うが、なんか脚本が破綻しているところがどうしても納得いかない。
改めてよく考えてみたんだけど、決定的にかけているものがあるということに気がついた。それは、この2作品ってともに、登場人物を描ききれてないことが問題なんじゃないかって。つまり、人物像とか世界観的なやつが欠けている。そこがないと物語に引き込まれないんだよね。だから細かなことについつい目がいってしまう。
例えば「ダーク・ナイト」。アメコミ、ドタバタ、子供向け、かと言ったら全然違うでしょ。だって深い人間心理がしっかり描かれているからね。そもそも比較するようなレベルにないから無意味な話なのかもね。ようするに内容は面白いかもしれないけど、いい作品とは言えないかな。
ただまぁ、あまり細かいことを気にせず見ている分には映像も綺麗だし、スタイリッシュさと地方都市の生々しさとか、映像表現は見事だと思う。ストーリーも悪くない。だから、楽しみ方次第といった感じかな。
いずれにしても、とっても絶賛されている高評価の作品であることにはかわりはないので、機会があったら観てください。こんなこと言ってるの俺だけかもしれないし。
ということで、モネの“「薄氷の殺人」&「鵞鳥湖の夜」映画レビュー あらすじと私的感想” fm_TYO_w_luv !! でした。

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