ヒロシです、今日もXMT_from_TYO !! です。
連日猛暑が続いていますが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
私は、結構ヘロヘロです。もしかして“アレ?”って思って、今朝、体温を測ったところ、36.6℃でした。まぁ、念のため、今日は仕事せず、午前中はしっかり寝て、午後もゆっくりすることにしました。と言うことで、ブログを書こうと思い、久しぶりに、あるスペイン映画を観ました。
ちなみに現在は、macを持って自宅を飛び出し、近所の橋の上にあるベンチへ。ハイボール片手にブログを書きつつ夕涼みみたいな感じです。
今回の作品は「神経衰弱ぎりぎりの女たち」、「トーク・トゥ・ハー」のペドロ・アルモドバル監督作「オール・アバウト・マイ・マザー」です。
要約すると、こんな感じ
女手ひとつで育てた最愛の息子が、交通事故死する。一人残された母が旅たち、死を乗り越える姿を描く感動作。簡単言いてしまうと、こんな感じ。こんな風に書いてしまうと、シリアスで重そうな感じがしちゃうけど、メロドラマっぽかったりコメディータッチな要素もあったり、ちょっと下品な感じもあったりと、小難しくも無いので、気軽に鑑賞できる人間讃歌的な素敵な作品です。
あらすじ
冒頭、点滴用のパック(ググったら“輸液パック”、“点滴パック”と呼ぶらしい)が現れ、パックに繋がる管、医療機器、心電図みたいなのが出てきたものの、触れることなく直線を描いている。それを確認した看護師は“電話してくる”と病室を後にする。
主人公のマヌエラは移植コーディネーター。亡くなったドナーの臓器に適合した患者を探すため電話をしているところから話は始まる。
場面は移り、自宅で食事の準備をするマヌエラ。息子エステバンと二人でテレビで映画を観ながら食事をする二人。かつて、アマチュア劇団にいたこと、そこで別れた夫(エステバンの父)と知り合ったことを知らされる。
エステバン17歳の誕生日。かつてマヌエラと父が演じた作品「欲望という名の電車」の舞台鑑賞。舞台終了後、主役のウマ・ロッホにサインをもらうため、土砂降りの中。待ち続ける二人。
通用口から、お待ちかねのウマが出てきた。サイン欲しさにウマに近づくものの乗り込んだタクシーのドアを開けることなく、タクシーを発車させたウマ。そのままタクシーを追ったエステバンは、横から出てきた車にはねられ脳死状態になってしまう。
エステバンの心臓移植同意のサインをしたマヌエラは、マドリードを列車で立ち、かつて生活していたバルセロナに向かう。
友人(同僚?)の、おネエ娼婦アグラードと再会。二人は救いを求め修道女である、ロサを訪ねる。その後、マヌエラは劇場に向かう。エステバンの死のきっかけを作った、女優ウマ・ロッホが主役を務める「欲望という名の電車」を観るために。
舞台終了後、マヌエラはウマの楽屋を尋ねる。ウマはレズビアンの関係をもつ、共演者、若手女優で薬中のニーナに手を焼いていた。そんな状況からか、マヌエラはウマより、付き人を頼まれ承諾する。
ある日、マヌエラの元にロサが訪ねてきた。突然の訪問はロサが妊娠していることを告白するためだった。相手はロラ。実はロラ、マヌエラの元夫であり、エステバンの父。ここから4人の数奇な運命が描かれていく。
登場人物について再確認
ここで登場する4人の女性を整理すると、こんな感じ。
主人公のマヌエラは臓器移植コーディネーター。劇団で知り合った元夫ロラは薬中の女性?として生活している。
アグラードは現役のおネイ娼婦で、マヌエラにとって一番頼れる親友。超いい奴!
ウマは、マヌエラが付き人をする現役女優でレズビアン。彼女は共演中の薬中ニーナ。
ロサは修道女。子供を宿してしっまたことが発覚。なんと、相手はマヌエラの元夫であるロラ。
ここから、とりあえず感じたこと
4人の見た感じの印象は、それぞれ社会の中で自立した普通の女性なんだけど、実は、個々に問題を抱えている。何かに依存し、その依存関係からギリギリの線で戦っている。
そんな、普通の人から外れた、ちょっと濃い目の4人が寄り添う、悲しみあり、笑いもありみたいな日常を垣間見せてくれた作品です。
この作品、息子の死を乗り越える感動作的な発想からすると、全くと言っていいほど欠けているものがある。それは、登場人物の心理描写や感情、映像を通じて叙情的な表現なんだよね。無いんだよ、あり得ないでしょ。
辛さの中で感動を生み出す原動力って、やっぱり心理描写だよね。ここに叙情的な情景とかがあって、物語に入り込み感情移入すると言うのが一般的なところだろう。
だけど、それが全くと言っていいほどないんだよね。とにかくさっぱりしている。にもかかわらず、俺は観ていて全然違和感はなかったんだよな。あらすじからもわかるよう、テーマは、シングルマザー、レズビアン、売春、エイズ、麻薬中毒。。。
さらに、失業、老い&ボケまで追加されちゃって、これでもかってくらいに現実社会で厳しさを強いられる姿が描かれている。
そして、4人の女性がこれだけ厳しい状況に陥ったのは、男によって引き起こされていると言うこと。じゃ、そもそもの男たちを叩くのかというと、その肝心な男たちは叩かれないばかりか、登場は皆無。そもそも作品の中には息子のエステバンくらいしか男は登場しない。
過去の男問題を説明するように蒸し返すことをせず、物語が流れていく。多分、この登場させないことで、全然暗さが無くなったんだろうな。この“さっぱり感”こそが、作品の質を高めるポイントなんだろう。つまり、深刻なテーマによくある叙情的、感情的な表現が必要ない、そんな悲観的な話ではないってことなんだろう。
4人は対立することもあるけど、助け合い、みんなで模索し未来を作る、この前向きさが、響くところなんだろう。よくある日常っぽいんだけど、そこにある色々な問題、依存によるトラブル。悲劇であることは間違いないんだけど、そんな状況にも甘んじることなく、自ら振り切った感が、なんか大袈裟じゃないんだけど、実に爽やで、“暖かさ”や“心地よさ”を感じてしまうところが素晴らしいんだよね。
秀逸ポイントはアグラード!
この作品の秀逸ポイント、それは超いい奴なアグラードの存在。俺は、アグラード大好き。人の痛みを知っていて、控えることも、いかなきゃいけない時もわかってて、こんなに人に気をつかえる人はいない。とにかく素敵な人。コミカルな、おネイのアグラードが3人の間に立っていることで、めっちゃ作品の質が高まっています。
結び
今回は、ラストには触れずネタバレなしで締めたいと思います。人に聞いた話だと、男受けの悪い映画だったらしいけど、俺は、これにはハマったな。きっと女性というものが、詰まった作品だから人によっては理解しにくいのかも知れない。
でも、これ、男女問わず全ての人に贈る、まさに人間讃歌って感じの作品です。
とにかく、4人の女性は運命に翻弄されながらも、たくましく前進していくだよね。俺もこんな風に生きなきゃなって思ってしまった。
ということで、ヒロシの“「オール・アバウト・マイ・マザー」映画レビュー あらすじと私的感想”fm_TYO_w_luv !! でした。
作品概要
監 督:ペドロ・アルモドバル
脚 本:ペドロ・アルモドバル
出演者:セシリア・ロス
マリサ・パレデス
ペネロペ・クルス
アントニア・サン・ファン
カンデラ・ペニャ